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「おやぁ……?」
可愛らしい声を上げながら手元を見る。
破瓜の血が伝ってきたのだと分かり、みくるはニヤリと笑みを浮かべた。
「涼宮さん、処女だったんですね。らしいと言えばらしいですし、意外といえば意外ですけれど……。とにかく貴方の処女を私がもらったことは確かです。残念でしたね、キョンくんにあげられなくて」
満面の笑顔でハルヒに言葉を掛けながら、さらにグイッと瓶を突き上げる。
「でも、安心してくださいね? すぐに処女を失ったことなんて、どうでもよくなりますから。処女喪失くらい、鞭を打たれて泣き叫ぶことに比べれば、全然大したことはないでしょう?」
「ぐぅ、う……うううぅ……」
ハルヒは恐怖で顔を歪めながら、絶望に染まった呻き声を上げた。
涼宮ハルヒはベッドの上に仰向けの格好で寝ていた。もう何時間そうしていたか分からない。
ベッドよりも僅かに高い位置にある机の上。そこに置いてある時計は、ベッドに寝たままだと表面が鏡のように反射して見えてしまう。そのせいで時計の針がどの位置にあるのか判別出来なかった。ハルヒは何度も寝そべったまま時計に視線を送ったが、ベッドの端が移っているガラスを確認することになるだけだった。
ならば身体を起こして時計を見ればいいのだが、しかしそれは彼女の意思で叶うことではなかった。
ハルヒの手足はベッドの四隅に向かって大きく広げられていた。拘束による強制力によって、ハルヒは不自由な格好を何時間も強いられているのだった。手首と足首にはそれぞれ縄が掛けれられおり、ベッドの四隅に括り付けられている。起き上がろうと手足に力を込めても、ギシギシと縄の軋む音を鳴らすことにしかならない。
それでも諦め切れずに起きようとした痕跡がハルヒの手足にあった。手首も足首も赤く擦り切れて薄っすらと血が滲んでいる。自力で縄を解くのは絶対に不可能だと認識するまで、苦痛を堪え必死に手足を動かし続けていたせいだった。全てを諦めてベッドの上でぐったりとしている今も、小さくない痛みが断続的にハルヒを苛んでいる。だがそんなことは今の彼女にとってはどうでもいいことだった。
早くここから逃げなければ。とても自力で抜け出せるような生易しい拘束ではないけれど、それでもなんとかして逃げなければ。
彼女の脳裏を支配しているのはその一点だった。後悔なんてしている余裕はない。痛みを訴えてくる手足ごときに構っている暇はないのだ。
涼宮ハルヒには地獄が待ち構えている。
その時はすぐそこまで迫っているだろう。