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「もう入ってきてもいい、ですよぉ」
その日の夜……あたしの声で入ってきた聡美さんの旦那様は、おーっと娘をみるような
おもはゆい顔で目を細め、部屋着から浴衣に着替えたあたしと聡美さんをにこにこと見た。
健太君はあたしの裾をつかんでおおはしゃぎだ。
聡美さんと目を見交わし、ほんのり染まる頬に秘密を共有した者の笑みをうかべる。
ほんの半日前のできごと。
けれど、その引き返しできない線を踏み越え、あたしと聡美さんはいまや、決定的な蜜
月の共犯者だった。
あれから、30分位は余韻に浸り、あたしは聡美さんの裸の胸に顔をよせて甘えていた。
どうしてこんなになっちゃったのか、レズなんてありえないような体験をしてしまって、
でも今なら、聡美さんとなら、これ以上なく幸せを噛みしめていられる。
淡白な旦那様への不満だとか、ネットの通販だとか、いろいろ裏のこみいった事情もあ
るんだろうけど、そんな話は全然大事じゃない。
あたしと聡美さんの関係は、もう憧れじゃない。本当の意味で愛をかわしあった、もう
二度と手放したくない、そういう意味の好き同士なのだ。
からからと下駄をならし、暗くなったあぜみちを隣町の花火大会へ急ぐ。